(4) 海洋温度差発電(OTEC)開発の小史
海洋温度差発電の原理は最近考案されたものではありません。その歴史は1881年に始まります。
フランスのダルゾンバール(J.D’.Arsonval)が熱帯地方の海水の水温に表層部と深層部とで差があることに注目し、この温度差を利用して熱機関を作動させることを考え出し、海洋温度差発電の原理を発表しました。この1881年というのは世界で最初の火力発電所がアメリカにできた年でもあります。その後、やはりフランスのクロード(G.Claude)が1926年にフランス科学学士院(アカデミー・デ・ミアンス)で小さな実験装置を用いて、世界で最初の海洋温度差発電の公開実験を行いました。クロードはこの後も海洋温度差発電の実用化に向けて種々の実験を行いましたが、エネルギー事情の変化の為に1973年の第一次石油ショックまで中断されました。
1973年の石油ショック後、アメリカと日本で本格的な研究が開始されました。一時期、アメリカでは国家プロジェクトとして取り上げられ1000億円に及ぶ投資が行われましたが、2基の実証プラントが建設されたものの、現在はほとんど研究されていません。
一方、日本では、サンシャイン計画などで取り上げられたり、電力会社による実証プラントの建設も行われましたが、いずれも十分な成果は得られないまま研究開発は縮小されていきました。
上原らの佐賀大学グループは、1973年以来海洋温度差発電のあらゆる課題に取り組み、現在までに11基の実験プラントを建設し、実用化の目途をつけたといえます。また、この間に多くの国際特許を取得しました。


1881年
ダルソンバール(フランス)海洋温度差発電を考案
1926年
クロード(フランス)、実用化に向けて研究を開始
1933年
クロード1200kWの発電船を建設
1964年
アンダーソン、海中発電所を提案(特許)
1970年
新発電方式調査会(日本)、海洋温度差発電の調査
1973年
佐賀大学で海洋温度差発電の実験開始
1974年
サンシャイン計画(日本)で海洋温度差発電の研究開始
1974年
ERDA計画(アメリカ)で研究開始
1974年
第1回OTEC会議(アメリカ)
1977年
佐賀大学で1kWの発電に成功
1979年
Mini-OTEC(アメリカ)50kWの発電に成功
1980年
佐賀大学、島根県沖で海上実験
1981年
東電、東電設計、ナウル共和国で120kWの発電に成功
1982年
九電、徳之島で50kWの発電に成功
1985年
佐賀大学に75kWの発電プラント完成
1988年
「海洋温度差発電研究会」が発足(日本の電力会社、エンジニアリング会社、建設会社など25社)
1989年
富山湾で世界初の洋上型深層水利用実験(科学技術庁が中心)
1990年
IOA(International OTEC Association)を設立(台湾、アメリカ、日本)
1993年
オープンサイクルを用いた実証サイクル(210kW)アメリカ・ハワイ島のコナ海岸に完成
1994年
佐賀大学の新サイクルプラント建設
1995年
佐賀大学の新サイクルプラント実験開始(4.5kW)
(カリーナサイクル、ウエハラサイクル)
1997年
インドの研究所において、OTECを建設(1000kW)
2003年
佐賀大学に複合OTECプラント完成(30kW)(伊万里市)

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